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旅たび倶楽部 第10回部録

2012.09.28.10:21

2012年9月23日(日)  雨

東京都23区東端~北端、水の史跡をめぐる

参加者: 野崎芳信、柳沢道生、弓 祐美(集合写真順)

 写真は東京都23区の最北端、足立区舎人4-9-21付近。柵の向こうの水路は埼玉県、金網の先には草加市遊馬町(あすまちょう)の遊水地が広がる。 遊水地の西側には川口市新郷公園、新郷スポーツセンターがある。

b0923集合n


1.妙典(みょうてん)駅~行徳寺町
 東京メトロ東西線・高田馬場駅で野崎さんと待合せ。電車で妙典駅へ。ここで弓さんと合流、外は雨。高架下の商店街を西船橋方向、北東に歩く。
 高架下から北西に数分、住宅地の中を歩くと趣きのある町屋が並ぶ通りに出る。旧行徳街道(成田街道)、昔から行徳の寺町として知られた界隈だ。街道を右・北東に歩くとほどなく左手に鳥居が見える。妙典春日神社である。
 安政3年(1856)の大津波で資料が滅失し創建は不詳だが、境内の灯籠には寛文10年(1671)の銘がある。隣は日蓮宗の清壽寺(せいじゅうじ)、ぜんそく封じの寺として知られる。本堂は近代建築だが、創建は慶長2年(1597)と歴史は古い。
 さらに、街道を北東に数分歩く。左に茅葺屋根が見える。妙好寺山門、市川市の文化財に指定されている。この日はお彼岸、門前にはお墓参りの人々。ここも日蓮宗で、下総中山法華経寺の末寺として永禄8年(1565)創建。毎年7月・土用の丑の日に、頭痛封じ、子供の虫封じに効くといわれる日蓮宗独特の祈祷が行われ、ほうろく灸寺とも呼ばれる。この寺で法華経の経典が、妙なる経典とされ、地名「妙典」の由来となったと伝わる。

b0923-2 妙典春日神社-妙好寺
        妙典春日神社 灯籠には寛文10年の銘                    妙好寺山門 市川市指定文化財

2.江戸川水道橋~行徳可動堰
 参拝後、街道に戻る。行く手に土手が見えてくる。現江戸川本流・旧江戸川放水路の堤防である。頭上に細身のトラス橋、これは水道橋で人は通れない。堤防に上ると左・上流方向に橋がある。交通量が多い。新行徳橋である。
 新行徳橋の南詰をくぐり、さらに堤防上を歩く。左・上流側に橋がもう一つ。行徳橋である。明治44年(1911)、江戸川放水路・現江戸川本流が開削され、行徳の町は南北に分断された。もう渡船の時代ではなかったのだろう。連絡路として架橋された。
 行徳橋を歩く。片側1車線だが車は結構多い。橋の中ほど上流側に時代がかったコンクリート製の建造物が4基、行徳可動堰という。行徳橋架橋とともに、ここに固定式の堰が設けられた。しかし、昭和22年のカスリーン台風洪水などに対応できず、昭和25年(1950)に可動式の堰が設けられた。そういえば河川敷に、可動堰放流時のサイレン・注意事項の看板があったなぁ、と思っていたら、橋を通る車に思いっきり水しぶきをかけられた。おいおい、こっちは警告なしかょ。

b0923-2 水道橋-行徳可動堰
              江戸川水道橋                               行徳橋と行徳可動堰

3.国交省江戸川出張所~江戸川水閘(こう)門
 行徳橋の上流・北西約500mあたりで江戸川は現本流・旧放水路と旧江戸川に分流している。現江戸川本流の堤防上を、さらに上流に向う。行く手は旧江戸川、その先が東京都江戸川区である。
 左に鉄塔、その下に国土交通省江戸川河口出張所がある。このあたり、東京都と千葉県の間の帰属未定地なのだ。江戸川河川改修の一環で、旧江戸川の流路も若干西に移動した。千葉県は従来の通り、江戸川流路を境界と主張、東京都は従来のままの境界を主張した。建造物は江戸川河口出張所のみ、民家はないので実害はなさそうだが。しかし、その江戸川河口出張所の住居表示は東京都江戸川区東篠崎町250、これが問題を一層ややこしくしている感じだ。付近の河川敷は千葉県市川市河原番外地である。
 因みに、この辺りは第4回部会で訪れた、東京都と千葉県の境界・舞浜大橋より東位置で3kmほどである。東京23区の最東端にあたるのだが、江戸川河口出張所はともかく、それ以外の境界があいまいなのは、何とも皮肉なことだ。
 江戸川河口出張所のすぐ先に、旧江戸川をまたぐコンクリート製の構築物がある、江戸川水門である。洪水対策、塩害防止、都市用水・旧江戸川流水量の確保などを目的に昭和11年(1936)に着工され、昭和18年(1943)に竣工した。水門上には歩行者、自転車のみ通行可の通路があるが、車は通行不可だ。
 江戸川水門の先は川中島、その先の流路に江戸川閘門がある。水門を境に上流・下流で水位の差が生じる。船の通行のために、水位差を調整する施設だ。世界的にはパナマ運河の閘門が有名である。江戸川水門と閘門を総称して、江戸川水閘門という。
 旧江戸川の堤防を下り、路地を南に歩く。左に都立篠崎高校、その先右手に延徳が見える。元の湯、近くで見れば古典的銭湯様式。マンション・ビル銭湯が増えてきた昨今、現役で残る貴重な物件だ。そこから南東徒歩すぐに、京成バスの車庫・ターミナル、江戸川スポーツセンターバス停、ここで二枚橋経由小岩駅行のバスを待つ。

b0923-3 江戸川河口出張所-水門
     国交省江戸川河口出張所 そこは東京都江戸川区                       江戸川水門

b0923-4 江戸川閘門-元の湯
               江戸川閘門                                 古典的銭湯様式 元の湯

4.一之江名主屋敷~城立(じょうりゅう)寺
 京成バスで10数分、名主屋敷バス停で下車。バス停前のいなげやの裏手、西側に木々が広がる。江戸時代初期にこの地で一之江新田を開き、代々名主を務めた田嶋家の屋敷だ。現在の主屋・茅葺きの曲り屋は安永年間(1772-80)の再建、茅葺き鉄板覆いの長屋門、屋敷林や堀をめぐらした2千坪の屋敷構えは、創建当初の様子を伝えている。東京都と江戸川区の史跡に指定されている。
 主屋の囲炉裏には火がくべられていた。雨や行徳橋のスプラッシュでぬれた服や足を火にあてながら、管理人さんのお話をうかがう。夏は特に風が心地よいそうだ。ただし、冬は四方の戸をあけっぱなしにしているので厳しいとのこと。昨年、田嶋家から江戸川区の所有に変わった。それまでは個人の資産だったのか、感慨。
 バス通りをわたり、徒歩数分の城立寺へ。ここも日蓮宗のお寺だ。一之江新田の名主・田嶋家の初代、田嶋図書英丈を開基として、元和2年(1616)創建。田嶋図書は、元堀田姓、豊臣家家臣で関ヶ原合戦後、当地に逃れて開拓に従事、寛永20年(1643)に没した。田嶋図書の墓は区の史跡。墓前の釈迦如来坐像は寛文3年(1663)作、全高約3m、区内最大の石造仏。区の文化財に指定されている。

b0923-5 名主屋敷門-名主屋敷主屋
         一之江名主屋敷 田嶋家長屋門                       一之江名主屋敷 茅葺きの主屋

b0923-6 城立寺墓所-大仏
         城立寺 田嶋家墓所 区指定史跡                     城立寺 釈迦如来坐像 区指定文化財

5.小岩~日暮里・舎人ライナー
 名主屋敷バス停に戻り、京成バスで10数分、終点小岩駅前で下車。駅南口から南東に伸びる通称・昭和通り商店街、その路地裏にある店がお目当てだったが、すでに閉店の模様。商店街の中華居酒屋・遊遊(江戸川区南小岩7-29−8)に入る。昼時をやや過ぎ客はいない。定食やチャーハン・餃子などをオーダー。意外といっては失礼か、美味。聞けば店主は上海出身とのこと。ならば、と壁のお品書き眺めると、あった「茭白炒肉絲(まこも肉千切り炒め)」、上海家庭料理の定番だ。ふさわしい飲み物とともに、味わう。
 小岩駅からJR総武線に乗り秋葉原乗換え、日暮里で下車。ここで、日暮里・舎人ライナーに乗換える。平成20年(2008)3月に開業した、東京都交通局が運営する新交通システムである。ゆりかもめと同様、案内軌条式鉄道で無人運転である。前方の視界はよいはずだが、今日は雨滴で見えにくい。

b0923-7 小岩遊遊-まこも
      小岩駅南口昭和通り商店街 中華居酒屋・遊遊                 茭白炒肉絲(まこも肉千切り炒め)500円

6.見沼代親水公園~砂子橋
 日暮里駅から約20分で終点・見沼代親水公園駅に着く。尾久橋通りの高架上の駅を出て通りの西側に。見上げれば、ライナーの線路が空中で唐突に途切れている。駅のすぐ北側から北西に遊歩道がある。これが、見沼代親水公園である。そのすぐ北側にもう一つ遊歩道、これは毛長緑道だ。お間違いなきように。
 私たちは見沼代親水公園を歩く。享保13年(1728)、見沼溜井(ためい)の代替用水路として開設、西縁(へり)・東縁があり総延長約85kmの見沼代用水。東縁の東京都足立区部分、約1.7kmが農業用水としての役目を終えた昭和59年(1984)、親水公園として整備された。全体は4つのゾーンから構成され、このあたりは水生植物園ゾーンである。元用水路には野鴨が5~6羽、好天であればさぞ快適であったろう。
 徒歩5分ほどで前方に毛長川が見えてくる。親水公園遊歩道との交点が砂子橋橋、かつては見沼代用水と毛長川が立体交差していた。行ってみると用水北側・上流からの流れはここで90度右に曲がり、毛長川に流入している。昨夜来の雨、流量はかなり多い。

b0923-8 舎人ライナー駅-親水公園
    日暮里・舎人ライナー 見沼代親水公園駅北端                  見沼代親水公園 水生植物園ゾーン

b0923-9 砂子橋
   砂子橋 見沼代用水上流部分(右奥)は直角に曲がり                   毛長川(右側)と合流している

7.東京都23区最北端~毛長緑道
 ここから南西にもう一つの遊歩道がある。神領堀親水緑道だ。これも役目を終えた農業用水路を整備したものだ。私たちは砂子橋をわたり北進、すると親水公園が途切れる。ここから先は埼玉県川口市である。そこから東に入る路地、それが東京都と埼玉県の境にあたる。路地北側に小さな水路、その工事を告知する看板には「埼玉県川口市」とあった。路地は緩いカーブを描いている。その北端あたりで集合写真。その向こうは同じ埼玉県でも草加市になっている。ややこしい。
 都県境路地を5~6分ほど歩くと、尾久橋通りに出る。南に向けて「埼玉県草加市」の標識、北に向けて「東京都足立区」の標識が立つ。南を見れは見沼代親水公園駅がすぐ近くに見える。南に1~2分歩けば舎人二ッ橋、橋は一つだが訳ありげな名称だ。橋の南詰で、毛長川沿いに西に歩く。数分で前方に小ぶりなビル。玄関にワゴンが止まり、荷下しをしている大男の頭にはマゲが。力士である。ここは境川部屋、今日は大相撲秋場所千秋楽、場所後の宴会の支度だろう。部屋頭の関脇妙義龍はすでに10番勝っていた。関脇豪栄道は7勝7敗、今日勝てば、宴会はさらに盛り上がることだろう。
 境川部屋の少し手前から南東に遊歩道がある。毛長緑道だ。昭和23年(1948)~40年(1965)の毛長川改修以前の毛長川の流路を整備したもの。緑道を3分ほど歩けば尾久橋通り、目の前には見沼代親水公園駅、すぐ南には見沼代親水公園入口。河川改修前、旧毛長川と見沼代用水はこのあたりで接近しており。橋が二つ並んで架かっていた。それが元々の舎人二ッ橋である。河川改修で毛長川は北に移り、橋も移動した。そのとき橋の名も持っていったのだ。
 尾久橋通りをわたり、毛長緑道東側、見沼代親水公園の続きを少し歩き、駅に戻る。

b0923-10 境川部屋-毛長緑道
     境川部屋 折しもこの日は大相撲秋場所千秋楽                  毛長緑道 旧毛長川流路を整備

8.熊野前~大塚駅前
 見沼代親水公園駅から日暮里・舎人ライナーに乗る。最先端席を確保するも、相変わらずの雨。前面ガラスに張り付いた雨粒が展望を遮る。乗車して約15分、ガラガラだった車内がかなり乗客で埋まったころ、熊野前に着く。ここで下車、都電荒川線に乗り換える。
 10分ほどで王子駅前、ここで乗客の半数以上が入れ替わる。ここから、次の飛鳥山まで34/1000の急勾配、曲線、軌道敷内車両通行可という、都電最大の難所なのだが、日曜日で車が少なかったためだろう、難なく飛鳥山に到着。そこから約10分、巣鴨地蔵通りの北端、庚申塚を過ぎ大塚駅前に着く。
 南口商店街でお目当ての店を探すが不明。小岩と同様、よさそうな店を探す。入ったのは台湾料理・美味縁(みみえん・豊島区南大塚3-43-12)。昼の上海料理から夜の台湾料理へ。ここで店主お薦めのシナチク、シジミ紹興酒漬け、空芯菜、豆腐セロリ炒め、などなど。お疲れ様の宴となった。宴といえば千秋楽。白鵬-日馬富士はどうなったろう。

b0923-11 大塚美味縁-台湾料理
         大塚駅南口 台湾料理・美味縁                           テーブル上の台湾料理

所感  残暑の長い9月だった。連日、真夏日、30度超えが続いた。ところが、前日・秋分の日から一転、気候は秋に変わった。そしてこの日は、秋雨初日、まさに「暑さ寒さも彼岸まで」であった。
 第3回『秋たけなわの飯能・青梅・福生を歩く』2012年11月12日から、都県境・県境をテーマとした旅を続けてきた。今回は東京都23区の最東端、歳北端を歩いた。最東端は、都県境未定というおまけが付いたが、付近には行徳可動堰、江戸川水閘門など大規模な治水施設があった。一方、最北端には見沼代用水、毛長川旧流路を整備した親水公園・緑道があった。これを機に「水の史跡」を新たなテーマに企画をたててみたい。
 それから、気になっていたこと、それは境川部屋である。毛長川は東京都23区最北端部分は川の北側まで足立区であったが、それ以外はおおむね東京都と埼玉県の境界をなす、いわば「境川」だ。そこで、境川親方の年寄名跡を調べてみた。すると、江戸時代の力士・初代境川浪右エ門の四股名に由来するらしい。ただし、この力士の出身地などは不明であった。毛長川の川岸に境川部屋を設けたのは、偶然か、洒落か、気になる。なお、豪栄道は無事勝ち越し、境川部屋は九州場所でも関脇2人を維持できた。白鵬-日馬富士の一番はご承知の通りで、第60代の横綱が誕生した。 (幹事 柳沢記)





 
 



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